updated date : 2020/02/13

マシュマロ実験から学ぶ統計学の危うさと、緩和ケアにおける生存期間を延ばす要因特定の難しさ

テレビ安く買えたと思ったら、展示品だったんだね…(◉︎ɷ◉︎ )


マシュマロ実験


1960年代にスタンフォード大学の心理学者、ウォルター・ミシェルが行った実験。



内容:
① 4歳児にマシュマロを見せ、1つ選んでもらう
② 「戻るまで食べないで待てたら、もう1つあげるね」と伝え、部屋を出る
③ 15分間、子供の様子を観察する


15分待つと2個のマシュマロが貰える。
忍耐力、つまり未来の報酬の為に15分間我慢できるかを観察する実験。


結果:
約30%の子供は15分間我慢できた


このマシュマロ実験を受けた子供たちの10年以上の追跡調査が行われ、なんと4歳の時にマシュマロを15分間我慢できた子供は大人になった時に…

・社会的地位が高い
・就学率や就学年数が長い
・喫煙・ドラッグなどの素行不良を行う確率が低い
・年収なども高い

などの結果がわかりました。



この実験から、3~4歳前後に忍耐力がある子供は大人になってから成功する確立が高い
「忍耐力」と「成功」の因果関係はあり!

と導き出されました。



しかーし、この実験が間違っていたことが1年半前に判明しました。


マシュマロ実験と同じ実験を、ニューヨーク州立大学とカリフォルニア大学の共同研究で行ったところ…

忍耐力、つまり「マシュマロを我慢できた子供は学校の成績や素行が良かった」というところまでは同じでした。


新たに行った実験では、ここに新要素として

親の年収
親の教育水準

を入れたところ子供の我慢や忍耐力は両親の年収と学歴(特に母親)に比例するということが判明しました。

Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication Investigating Links Between Early Delay of Gratification and Later Outcomes
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0956797618761661



現在、伝説のマシュマロ実験は統計学のよくある間違いの代表例を説明するためのよい例として使われるようになりました。


『Aという要因があるからB』

という結論は一見正しいように見えても、実は因果関係が無かったということも統計学ではよくあります。


マシュマロ実験は小さい頃の我慢強さは大人になった時の成功に繋がるというものでした。


ただ、よくよく見てみると、

小さい頃の我慢強さは親の年収と教育水準で決まり、それが大人になった時の成功に繋がる

つまり…

親の年収と教育水準が子供の成功に繋がる!


全く別の結果になってしまったと思いませんか? (◉︎ɷ◉︎ )




生存期間を延ばす要因特定の難しさ


実は「緩和ケアと生存率・生存期間」の関係は本当に複雑で、何がどれほど影響しているのかハッキリと言及は出来ません。


まだまだ勉強している途中ですが、その中で私なりに「生理学や人間の生体反応からこれが大きな要因なのでは?」と考えていることはあります。

例えば

・炎症系の反応を抑えることによって、肉体のストレスが減り生存率・生存期間が伸びる
・不安や孤独、病気の心配によるうつ病などの心の病が炎症系に作用し、生存率・生存期間が下がる

などがあげられます。

また、社会的なサポートをスムーズに受けることによって正しい治療の情報を受け取ることができ、生存率・生存期間が伸びるようになる等の可能性もあるのではないかと考えています。


いずれにしても、緩和ケアと生存期間の因果関係の要因を考える上で、何がどのように影響を与えているのかというのは様々な要因が考えられ、因果関係は頻繁に変わることになる可能性があるのではないのかな、というのが個人的な考えです。

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